CAT'S EYE(猫の視点)

カテゴリ:本・音楽・アートなど( 12 )

【THE BIG PARADE 2014】 デジタル時代のヒットチャートとは?

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音楽とテクノロジーの祭典『THE BIG PARADE 2014』 が9月13〜15日にかけての3日間、代官山界隈の複数の会場で開催されました。

最終日となる9月15日13時からDigital Garage社内で開催されたセッション「デジタル時代のヒットチャートとは?」 は、長年低迷し続ける日本の音楽市場への問題意識の高さを反映してか、音楽業界関係者やメディア関係者を中心に200人の席がほぼ埋まるほどの盛況ぶりでした。

登壇者は、シルビオピエトロルオンゴ氏(ビルボード チャートディレクター)、野本晶氏(Spotify Japan株式会社

モデレータは、ジェイ・コウガミ氏(All Digital Music ブロガー)です。


世界最大のストリーミングサーヴィスSpotify

ビルボードは言わずと知れた、音楽のヒットチャートの代名詞ともいえる米国の音楽媒体ですが、Spotifyは日本ではまだサーヴィスインしていないこともあり、国内の知名度はまだあまり高くありません。

現在2000万人を超えるユーザを持つ世界最大手の音楽ストリーミングサーヴィスSpotifyは、早期からCDの売上が落ちて違法ダウンロードコピーが横行してしまった北欧で、カウンター的に興された事業に端を発しています。そのことが現地のラジオ局との連携につながり、ストリーミングサーヴィスが広がる下地となりました。


ビルボードチャートディレクターから見た音楽市場とヒットチャート

シルビオ氏は、今の音楽市場の現状を、アルバムセールスが下落の一途を辿り、その一方でトラックセールス(iTunesなどで曲単位に売ること)やストリーミングサーヴィスが市場を伸ばしていると分析します。

それらを受けてビルボードでは現在、従来のシングルチャートの他、ユーザが投稿するYoutubeの再生回数なども含むストリーミングチャートとソーシャルチャートを発表しています。

※詳細はコウガミさんが以前にブログで解説していました。「Twitter社と米Billboard、ソーシャル上で人気の音楽がリアルタイムで把握できるチャート「Real-Time Charts」を開始」

ストリーミングチャートはユーザの音楽への定量的なリーチを指標とします。購入の有無に関わらず、音楽がユーザにリーチされる頻度や接触の仕方などが解析の対象となります。

一方、ソーシャルチャートはやや定性的な分析の仕方となります。ストリーミングの再生回数などの他、ファンによる、アーティストや楽曲などに対する言及の仕方が解析の対象となります。


ヒットチャートの指標をどこに置くか

野本氏によれば、Spotifyでは本人の周囲にいる人同士で趣味趣向が影響を受け合うことによりチャートが変化するソーシャルチャートをより重視しつつも、従来のシングルチャートも見られるデザインにしているとのことです。また、自分が最近よく聴いた音楽を可視化する「My Ranking」というコーナーもあります。

ストリーミングチャートの指標となる解析の対象は、国によって異なり、たとえば音楽業界の体質が日本と比較的近いといわれているドイツでは、有料のストリーミングサーヴィスのみが対象となり、無料のストリーミングサーヴィスのリーチ数は除外されています。

ジャパンビルボードでは、201312月からTwitterグレースノート社 のデータを合算したチャート「Japan Hot100」を出しています。それまではCDなどのパッケージ販売とiTunes配信、ラジオ局でのオンエアのみが指標でした。しかしシルビオ氏はヒットチャートの指標について、日本ではTSUTAYAなどでレンタルされた楽曲は、数値的には無視できないはずなのにチャートを出す際に解析対象になっていないことを指摘してます。


ヒットチャートがコンテンツにもたらす影響

セッション後半にさしかかり、コウガミ氏は、ヒットチャートがコンテンツに及ぼす影響について質問をします。つまり、チャートのランクインされたことで爆発的なヒットが生まれたり、才能のある新人が発掘されるチャンスがあるのかということについてです。

シルビオ氏は、バイラルによって新人が発掘されてビルボードのトップ10にランクインされた事例について紹介するとともに、アーティストの個性によって見せ方とそれに合うプラットフォームに差異があることについて言及しました。

たとえばインパクトのあるビジュアルや動画演出から楽曲への人気にもつながるなど、ウェブコンテンツへの接触頻度の増加が、ユーザによる音楽の楽しみ方の多様性を生みます。それは同時にアーティストにとってはプラットフォームやサーヴィスを利用するユーザの属性に応じた発表の場や演出を選ぶことが肝要になるということでもあります。

確かなこととして言えるのは、ユーザの反応によるコンテンツの影響力は、チャートの多様性とそれらのブレンドに呼応する形で増しているとのことでした。


音楽マーケティングにおけるビッグデータの活用について

海外においては、ビッグデータを取り入れたマーケット分析が音楽の分野でも取り入れられています。ビルボードはNext Big Sound と契約を結び、SpotifyThe Echo nest を利用しています。

nextbig soundの特色は、アーティストのオンライン・オフラインでの動きをトラッキングしたプラットフォームで、レーベルにとってそのアーティストを、どのような属性のユーザにリーチさせるべきかを解析しています。

一方the econestは、ユーザの動向を解析し、そのユーザが好きになるかもしれない曲をレコメンドするためにビッグデータを活用しています。ジャンルをシームレスにしているのが特色です(たとえばロックを聴いてきたユーザにジャズをレコメンドすることもあるかもしれません)


日本の音楽市場が向かうべき方向

コウガミ氏は日本では「Real-Time Charts」のようなソーシャルチャートもビッグデータもまだ取り入れられていないことに言及しつつ、今後日本のヒットチャートの向かうべき方向について二人に質問をします。

シルビオ氏は、企業によっては全ての情報を透明化したいわけではないかもしれないが、解析自体は進めていくべきで、まずはファンがどのような動きをしていくのかをフォローしていくところから始めるべき。課題はあるが、テクノロジーがそれらを解決していくだろう、とコメントをしました。

野本氏によれば、ユーザの関心を反映させたチャートが人気を持つのは間違いがないということ。これまでも最も影響力のあったのは、リアルな人間関係内の口コミや身近な人からのレコメンドで、それはそのままソーシャルネットワークでの情報伝搬に置き換えが可能であろうと結びました。



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by mikeneko301 | 2014-09-15 22:22 | 本・音楽・アートなど

まだ、誰も見たことのないゲーム世界を創るために

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私はどこから来たのだろう、そしてどこへ向かうのだろう

私が私である以前は何であったのか、

この生涯を終え、私が私でなくなった後はどうなるのか

 

この宇宙が今の姿になる前は、何があったのだろう

いや、何も無くただ虚無があったのだろうか

では、何も無い虚無とは一体どのような状態なのだろうか

 

そんな問いは、時折微かな不安とともに浮かんでは来るけれども、次の瞬間には日常を取り巻く些事に意識を奪われ、再び心の奥にしまわれていく。

けれども、きっとこれは人類にとって根源的な問いに違いない。だからこそ、歴史が始まって以来、宗教や哲学、科学や芸術とあらゆる形で、人はこれらの問いにかりそめでも良いから答えを見いだしてこようとしたのだと思う。

その思索の過程を、さらには世界の成り立つ過程をゲームによって追体験をする試み。私は故飯野賢治氏が残し、その仲間が意志を引き継ぎ、さらに多くの仲間を集めて完成させようとしているKAKEXUN(カケズン)制作プロジェクトを、そのように解釈する。

残された企画書という種を芽吹かせるためにクラウドファンディングで資金調達をし、そのムーブメントに引き寄せられて多様な個性を持つ人たちが、今もリアルタイムで協力者として集まりゲームを制作していくプロセスは、それ自体が一つの宇宙を創り出す試みであり、天地開闢の物語となり得る。ゲームはすでに始まっているのだ。

クラウドファンディングの募集はあと3週間弱。誰も見たことのない世界の地平を、併走しながら見ていきたい。


飯野賢治企画・原案のゲームKAKEXUN(カケズン)制作プロジェクト



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by mikeneko301 | 2014-04-29 23:22 | 本・音楽・アートなど

【講義録】社会のモンダイを遊びに変えるゲームデザインの考え方

11月12日に東京大学で開催された山本貴光さんによる公開講座の講義録です。遅刻しての参加だったので最初の20分ぐらいは切れています(スミマセヌ…)。また、メモと記憶を頼りに起こしたものなので、ところどころ不正確なところがあるかもしれません。お気づきの点がありましたらご指摘いただければ幸いです。

個人的にはゲーミフィケーションに関心が向いているタイミングでしたので、エンターテイメント以外を目的とする点で共通点の多いシリアスゲームのゲームデザインについての講義はとても勉強になりました。

会場に来ている聴講者達も学生以外の社会人が多く、企業やNGOなどの各種団体職員の方も見られました。ゲーミフィケーションという言葉が聞かれるようになったのは2011年の後半からだったと記憶しておりますが、このようにゲーム的手法がジャンルを超えて注目を集める中、今回の山本さんの講義は多くの方にとって有意義なものとなったのではないでしょうか。


★社会のモンダイを遊びに変えるゲームデザインの考え方★
日時:2013年11月12日(火)18時30分〜
場所:東京大学駒場キャンパス内
http://www.anotherway.jp/archives/001324.html
講師:山本貴光
http://d.hatena.ne.jp/yakumoizuru/


【ゲームの要素となるものと、その構造について】
ゲームには、簡単には解決できないモンダイが必要です。簡単には解決できないモンダイやプレイヤーを適度に困らせる仕掛けと、それらを解決する手段が組み合わさることでゲームは作られていきます。

たとえば最初から最強レベルの主人公が魔王を倒しに行くドラクエも、何をしても死なないマリオもゲームとしてはつまらないものになってしまいます。必勝・楽勝ではゲームは面白いものになりません。

プレイヤーにとっては、試行錯誤も楽しみのうちです。選択肢のうち、どれを選んでも、それぞれメリットとデメリットが生じることによるジレンマもあると、なお良いでしょう。

ゲーム内に限らず、多くの物語は幸運と不運を行き来することによって成り立っています。これはカート・ヴォネガットの『国のない男』に詳しく書かれていますので、ご興味のある方は読まれると良いでしょう。でもカフカの『変身』などは一貫して不運ですね。目が覚めたら虫になっていますし、そのまま死んでしまいますから(笑)

※1 参考図書:『国のない男』(カート・ヴォネガット著)

Case1 Cookie Clicker
さて、ゲームの構造について、幾つかの事例をあげて説明しましょう。まずはCookie Clickerというブラウザゲームです。初めに警告しておきますが、このゲームはやらない方がいいです。警告はしましたからね? このゲームの特徴は次のようなものです。

モンダイ:できるだけ多くクッキーを焼け
解決方法:基本的にはクッキーのアイコンをクリックするだけ

ゲームのサイクル:
クッキーのアイコンをクリック

クッキー生産

クッキーを通貨にアイテム購入

クッキー生産率(Cps)向上(自動的に生産してくれるようにもなる)

アイテムは購入する度に値段が上がる

より多くのクッキーが必要

このゲームを進めていくと、真のモンダイは、できるだけ多くクッキーを焼くことではなく、「Cpsを最大化せよ」ということだと解ります。もちろん、そのつどのモンダイ、たとえば手持ちのクッキーで買えるアイテムを今買うべきなのか、次のアイテム分まで貯めるべきなのかということも生じてきます。さっき申し上げたジレンマですね。

正直私はこのゲームを最初に知った時は少しバカにしていましたが、やっていくうちに教科書に事例として載せたほうがいいほど、よくできているゲームだということが解ってきました。

Twitterで話題になっているのを見て仕事の合間にと始めてみたところ、気がついたらこのゲームを進める合間に仕事をしていました。このゲームの没入感が何によって生じるのかは、次の6つの要因にまとめられると思います。

①モンダイが明確
②解決手段が手軽
③行動への反応が迅速かつ明確
④常にゲームの状態が変化している
⑤常にもっとCpsは上がるはずだと思わせる
⑥常に目が離せない

また、ゲームにおけるモンダイの二重性も注目すべきです。
1 物語としてのモンダイ
これは、このゲームの場合、クッキーを焼くということです。

2 遊びとしてのモンダイ ある変数xの最大化を目指す
今回の場合、Cpsクッキーの生産効率ですね。

気がつくと私はCpsのことばかり考えるようになっていました。よりCpsをあげるにはアイテム(クッキーを焼いてくれるおばあさんだけでなく、錬金術で金からクッキーを作る装置など荒唐無稽なものも含めた)が必要で、そのアイテムを買うには、より多くのクッキー、すなわちCpsが必要になります。

このCookie Clickerというゲームの正体は、
貨幣→商品→貨幣
という資本主義の構造そのものだったのです。つまり、これは一見単なるお馬鹿ゲームと見せかけたシリアスゲームだったといえます。


【シリアスゲームをデザインする際の考え方】
シリアスゲームは社会の問題を扱うゲームです。社会とは人々の集合で、そこでのモンダイは人や社会が困ることです。つまり社会の問題を考えることは、人々の幸福について考えることだといえます。

歴史を見ても現代社会を見ても、そこはモンダイの宝庫ですが、まずはモンダイを選んでそのモンダイの模型を作ってみましょう。手順としては次のようになります。

①テーマを選ぶ
②テーマの中のモンダイを設定
③プレイヤーの立場を決める
④モンダイを要素に分解する
⑤要素同士を関連づける

私が以前いたコーエーのゲームで恐縮ですが、『信長の野望』を例に、これらを考えてみましょう。

①テーマを選ぶ
日本の戦国時代

②テーマの中のモンダイを設定
戦乱の時代に天下統一して日本に平和をもたらす

③プレイヤーの立場を決める
一国の君主

④モンダイを要素に分解する
他国の外交と戦争によって隣国を併合して領土を広げる。そのために軍事力と国力を上げていく
国力に関わる要素:町、石高、治水、民忠
軍事力に関わる要素:武器、兵力、兵糧

⑤要素同士を関連づける
軍事力に関わる武器、兵力、兵糧の数値を上げるには金が必要。その金は町の発展に投資することにより多く得ることができる。国力に関わる要素のうち、民忠は金を施すことにより得られ、この数値が下がると一揆などが起きてしまう。石高と治水は兵糧の数値に関わり、これが一定数以上でないと、兵力や武器があっても戦争ができなくなってしまう。

という具合に、ゲームの構造を時には単純化しながら作りあげていきます。

Case2:Crash Town
このゲームの町に出てくるドライバーは軒並み命知らずで、放っておくとそこに何があろうとも全速力で疾走するのですぐに事故が起きます。つまり、放っておくとモンダイが発生し、それに対して何かをせずにはいられなくなるので、プレイヤーが試行錯誤をしてゲームを進めていくというものです。具体的には交差点に信号機を設置し、それが正しく設置されていれば事故は起きなくなります。

ただし、少し物足りないところもあります。一つには、このゲームは各ステージで完結してしまうため、前にやったことの累積によってゲームが有利になったり不利になったりするということがないからです。もう一つは、これが致命的だと思うのですが、一度正解が解るとそれまでで、やり込める要素がないことです。

Case3:Football Defining

(ゲーム内容はメモし忘れたので割愛)

こちらも放っておくとモンダイが発生するという点でCase2と似た性質を持つゲームなのですが、こちらの場合は一つのモンダイに複数の解決方法があり、前にやったこともちゃんと累積していきます。

プレイヤーを招くのは、未解決のモンダイです。まだするべきことや選べる選択肢があると、たとえばCookie Clickerがそうであったように、一度やめることがあっても、再びプレイヤーはそのゲーム画面を開きやすくなります。

【質疑応答】
Q1:真面目さと楽しさのバランスをどのようにとっていけば良いか

A1:ゲームを通して社会の問題を普及していくときに、それがお勉強であると気がつかれると失敗する可能性が高くなります。なので、言葉は悪いですがだますための仕掛けを考えることも大事です。受け手を入り口で楽しませることができれば、すんなりと受け入れてもらえることがあります。
古代ギリシャの思想家ルクレティウスは『物の本質について』(※2)という本を書きましたが、非常に難解な話を詩にして読者にとって馴染みやすいものにしたという事例もあります。

※2 参考図書:『物の本質について』(ルクレティウス著)

Q2:たとえば原発問題のように、そもそも正解とされる答えが出ていないモンダイをどのようにゲーム化することができるのか

A2:原発問題をテーマにするなら、たとえばプレイヤーが原発の運営をするという立場になれば、それを邪魔する仕掛けがいくらでも考えられるので、ゲームとして成立します。答えの出ていないモンダイに対しては、ゲームを通してそのモンダイが簡単には答えが出せないものであることを伝えることもできます。

Q3:ゲームを教育に取り入れて特定のコミュニティ内で実験をした結果を、実体験に応用するにはどうすれば良いか

(メモを書ききれなかったので割愛。どなたか教えてください)
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by mikeneko301 | 2013-11-15 15:57 | 本・音楽・アートなど

白紙の中に残るもの —藤本なほ子さんの展覧会にて—

表参道ヒルズの裏手、住宅街の中に表参道画廊はあった。
昨日は藤本なほ子さんのインスタレーション作品「部屋」を友人と見に行った。

地階にある小さなギャラリーに入ると、いくつかのモニターが設置されていた。窓から見える何の変哲もない風景(しかしそれはただの日常を映しているようでいて非常に奇妙なものであることに気がつく)、手紙を書く女性の手。手紙を書く映像で書かれている内容は、他愛のない日常のできごと、旅先のこと。やりとりをしているのは年齢の離れた二人の女性だろうか。

画面に映っているのは紙とペンを持つ手だけ。ゆっくりと丁寧に文字を綴り、時々立ち止まって、次に何を書こうかなと思いを馳せている様子が見て取れる。ただそこに映っているのは手だけなのに、細かな動作というものは、日常意識する以上に実は雄弁なもので、顔は見えないものの書いている人の表情までもが目に浮かぶように思えた。

転じて隣のモニターには、手紙を書き終えたところから映像をゆっくりと巻き戻し、文字をペンでなぞって消していくかのように、一文字一文字が消えていく映像が流れていた。それが酷く悲しかった。なぜなら、書いた文字を消しゴムで消す以上に「消えている」からだ。時間が巻戻るということは書いたという事実ごと消えてしまう。そして、その書いた思いすらも消えていくような寂しさがそこにあった。私はその場に立ち尽くし、最後の一文字が消える瞬間までを凝視し続けていた。

するとどうであろう。最後の一文字が消え、白紙だけがそこに残った瞬間。それまで感じていた寂しさが消え、何もないのに全てがそこに在るような安堵感を覚えた。そう、白紙の手紙の前には、これから誰かに何かを伝えようという意志がそこにあるように思えた。

なんとなく静かに満たされた気持ちになり、ギャラリーを出ると、藤本さんがお茶を入れてくださった。じんわりと芯からあたたまりながら、少しの間作品についてお話を伺うことができた。
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by mikeneko301 | 2012-11-04 20:37 | 本・音楽・アートなど

intensity into the boundary

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「人は無限の中、定義できないもの中で生きることは
 できない。われわれには制限が、境界が必要だ」
(「魂と弦」 イヴリー・ギトリス)


あなたと私の境が無ければ、

私は私として存在することはできない

未知を知ること、有るものを有らしむために

それは空と海の境界を探す旅と似ているかもしれない

生きる、ということは…


何を見るにしても、考えるにしても、そこには常に
「何故私はここにいるのか?」という素朴な疑問がある。

以下「未来からの贈り物(宇宙物理学者フリーマン・ダイソン) からの抜粋メモ

-----------------------------------------------

Q:”心”とは何か、ということを科学的に定義していただけませんか?

私にとって、今の時点で心を科学的に定義することは何の役にも立ちません。それは私たちは心について実は何も知らないという事実を隠してしまうからです。

Q:このインタビューであなたは何度も「私にはわかりません」とおっしゃいます。宇宙を前にしたとき、それはとても大切な姿勢だと思うのですが・・・?

その通りです。偉大な物理学者だった私の恩師のリチャード・ファイマンはこう行っています。「疑問とは理解を妨げるモノではない。疑問こそ理解のエッセンスだ」と言っていました。ですから私が”わからない”と言うときはわかりはじめているという意味なのです。

Q:”わかっていない”という事を知ることが理解の始まりだと思うのですが・・・?

ええ、そして知らない事が多ければ多いほど理解するチャンスが増えると言うことなんです。

Q:それが私たちがココにいる理由ですね!

その通り!

 たしかに、私たちには生きていると言うだけで一つの満足感があります。しかし、人間はさらにずっと大きな自分を越えた目的を持つこともできます。実際人間は自分よりずっと大きな目的に関わっていたほうがより幸せなのです。それが宗教を生みだし社会をうごかしてきた原動力なのです。

 人間には自分の一生という限られた時間を越える目的が必用なのです。その目的が何なのか客観的にはわかりませんが、私たちはそれを探し求めています。私自身はこの宇宙には私たちの創造を遥かに越えた大きな目的があると信じています。それが何であるのか私にはわかりません。

 私は自分が人間であるという事実についてはさほどの驚きはありません。つまり、宇宙のどこに生まれようとも何らかの体を持っていなければならないからです。おどろくのは私たち人類はまだとても幼いということです。天文学的な視点から見ると、人間はまだちょっぴりと脳のある猿にしか過ぎない。それなのに、こんなにも沢山のことを理解している。私がおどろくのは人間が全てを理解していないという事ではなく、少しでも理解しているという事なのです。
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by mikeneko301 | 2012-10-04 22:27 | 本・音楽・アートなど

memorandum



今日、友人とICCでDumb Typeのmemorandum
という作品を観た。

人は目の前に散りばめられたフラグメントを見ると、
無意識のうちにそれらを思考の中で秩序立てて
一定の文脈を探そうとしてしまうのだろうかと思う。
たとえば夜空に散らばる星々の中に星座を見いだすように。

爆音とともにフラッシュバックのように移り変わる映像。
右から左へと高速で流れ続ける数列。
メモ帳に殴り書きされる言葉、部屋のレイアウト。
しかし次の瞬間にそれらは破り捨てられ、
ただの紙くずとなる。

それらを目で追いながら、いかに自分の脳が事物に
法則性や秩序を見いだす習慣を身につけてしまったか
を思い知らされる。

メモ、ランダム、記憶。
今の自分のアイデンティティや世界を構成しているのは、
それまでの人生と我々が思いこんでいるものの連続的な
過去の記憶だ。

たぶん私達は無意識の内に事物と事物の間に
言葉という境界を挟み込み、意味を見いだそうとする。
バラバラのピースを編集し、ひとつの文脈を作り上げ、
意識の鏡が映し出す風景を世界と思いこみ安住する。
そうすることで、安心しようとするのだ。

しかし、あえて今、それらを疑ってみる。

見ようとしていないだけで、本当は知っているはずだ。
いかに記憶や認識というものがいい加減なものなのか。
肩を並べる私とあなたが見ている風景が驚くほど違うことを。

事物と事物の境界を溶かし、意味の枠を取り払ってみる。
すると新しい世界が見えないだろうか。


次々と作り上げられては破壊されていく文脈は、
見ていて清々しくすらあった。

それは、自分で作り上げた意味という呪縛の中、
予定調和的に見続けている世界を、私の無意識が
ほんの少し息苦しく感じていたからかもしれない。
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by mikeneko301 | 2010-06-20 23:01 | 本・音楽・アートなど

Christophe Goze


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Christophe Goze はフランスのギタリストで、ジャンルで言うと
フュージョン×エレクトロニカ×トライバルといったところ。
でもHIP HOPとジャズを組み合わせたり、色々と実験的なサウンド
造りをしていることもあて、なかなか区分分けが難しいアーティスト
ですが、私が一番好きなアーティストでもあります。

初めて聴いたのは、2003年のミラノコレクションの音源を聴いて
いたとき。シタールとギターの絡みとパーカッションがあまりに
格好良くて一発でとりこになってしまったのでした。

その曲がこれ。「Mañana」



以来、時々イベントでDJするときは必ずと言っていいほどかけています。
そして問い合わせ率も高い(笑)。すごくいいのに国内で知られていない
アーティストって多いです。だからこそ、探したりコアな音楽好きと
情報交換をする楽しみもあるのだけど。

Christophe Gozeは、BAR DE LUNEというUKのレーベルから何枚か
アルバムを出しています。このレーベルはワールドミュージックと
エレクトロニカを融合させたchill系のサウンドをたくさん出しているので、
そういう系統が好きな人には特にお勧めです。
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by mikeneko301 | 2010-06-02 20:36 | 本・音楽・アートなど

Summer Daze

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あの日差しの面影はどこへ
冷えたアスファルトの
ざらりとした触感にさえ
夏の残照の温もりを思い出す

追憶の先に在りし日を
追い求めるように
わたしたちは
終わり行く夏を愛おしむ

ウィンドウ越しの風景は幼き面影を映さない
木漏れ日の中
時間は音もなく飛び去る
喧噪も哀しみもかき消しながら

追憶の先に在りし日を
眺めるかわりに
わたしたちは
今を愛おしむ

そして見つめた過去は
一瞬にして未来へと変わるのだ

夜となく昼となく
空の色彩を追いかけて
うつす瞳を仰ぎ見る

風に背中を押されて
流れる雲の影を
また追いかける

だから

その手を離さないで
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by mikeneko301 | 2007-10-02 14:50 | 本・音楽・アートなど

それは全身全霊の空間

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その日は朝の5時起きで、会社の大掃除で一日中肉体労働だったから、
会場に着いた20時過ぎには、体はとっくに限界にきているはずだった。
それでも踊らずにいられなかった。音を全身に満たしながら。

今年で閉店になるヴェルファーレでの最後の公演。
今回は、BODY&SOULでも、まちがいなく特別な日だった。
世界のトップに立つ3人のDJ、ダニー、ジョー、フランソワの
本気度が桁違いだったのだ。

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頭ではなく、身体で聞くこと、魂を開放すること、
そして肉体と魂の境界を溶かして、空間と一つになること、
それがBODY&SOUL。

ここでは、音楽のもとに全ての人が兄弟姉妹となる。
音が震わす空間から降りてきた音楽の神が、みんなを一つにする。
そして、一人一人の魂が空間となり、融合し、至福の時を創り出す。

踊りながら私は、この街を、海を、空を、大地を感じていた。
空を駆けることもできたし、海に潜ることだってできた。

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初対面のひとたちとだって、すぐに仲良くなった。
住んでる場所も、世代も、国籍もちがうかもしれないけど、
この空間を、音を愛しているから、気持ちは一つなんだ。

そして、周りを見ると、至福の表情で踊る仲間たちがいた。
会ったみんなとハグをして、キスをして、笑いあった。
いつだって、どこでだって、ときどきしか会わなくても、
私たちはいつも一緒にいるんだ。
年をとったって、天国に行ったって、きっとそうでしょ?

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ヴァイブのグルーヴが渦をつくった、龍神が空を舞うように。
プリミティブなパーカッションのテンションが、限界を超えた。
歌い、獣のように叫びながら、私たちは踊った。

そして、意識は空白となった。
肉体も、魂すらも、そこにはなく、ただ愛と至福があった。

数時間にわたるアンコール、
MCの直後にかかった「Stay This Way」はメッセージだった。

みんな大好きだから、
心から愛しているから、
ここに、一緒にいて欲しいんだ

涙があふれてきた。
みんなの手を握り、爆音の中、声はほとんど聞き取れなかったけど、
言っていることは、お互いに、みんなわかっていたはずだ。
「いてくれて、ありがとう」「出会ってくれて、ありがとう」

ダニー、ジョー、フランソワ、3人のDJやオーガナイザーにはもちろん、
クルーや会場のスタッフ、エンターテインしてくれたダンサーたち、
あの空間を共有した仲間たち、会場で出会った全ての人に、ありがとう!!
今度は野外らしいけど、また5月、あのDJブースの前で!

心からの愛とリスペクトを込めて。
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by mikeneko301 | 2006-12-28 20:39 | 本・音楽・アートなど

Santana中毒

老いてますます盛ん(?)なラテンロックの雄、サンタナの
The Birth of SantanaをiTuneでダウンロードして聴いている。
iPodに入れたら最後、朝っぱらと通勤帰りはループしっぱなし。

これ、サンタナがデビューする直前の音源を集めたものなのだけど、
かなりヤバイ。 ギターが歌う歌う、かっこよすぎ!
「Jingo」、「El Corazon Manda」…聴きどころ盛りだくさん。
70年代ロックが好きな人は必聴だね!

エリック・クラプトンとのコラボのCallingは、私の中の永遠のアンセムで、
携帯の着メロにも使っているぐらいなのだけど、このこぶしの効いた
ギターのうねりを聴くと、クラプトンとの相性の良さが改めて分かる。
あの二人のギターの掛け合いは、何度聴いてもしびれる。

そういえばサンタナは、まだ一度も生で聴いたことがない。数年前に同じ時期に
来日していたクラプトンがスペシャルゲストで飛び入りしたんだっけ。
今度来たら行こうかなライブ…。
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by mikeneko301 | 2006-12-14 23:05 | 本・音楽・アートなど



日々の雑感や妄想とか。