CAT'S EYE(猫の視点)

カテドラル

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真冬のカテドラルは、人がほとんど居なかったこともあり、吐く息も白く凍てついていた。

中に入ると祭壇を歩きながら、時々手振りを交えて、ゆったりと荘厳な雰囲気で唄う初老の男性がいる。洞窟のような、胎内のような聖堂の壁に反射する声が、静かな大地の響きのように深く、どこまでもこだましていた。彼の白い肌は赤みがかり、金色の髪の毛が、時々差す外光に光っていた。

その日は、グレゴリオ聖歌のコンサートが夜にあるので、それのリハーサルなのだと、側にいるスタッフの男性が説明してくれた。唄っている司祭のような身なりの男性は、パリ大学の神学の教授であり音楽家でもあるのだという。

音をたてないように少し近づいたが、ロングコートの裾を少し持ち上げたとき、ブーツの踵が一瞬だが床に当たってしまった。

コツッーーーーーーーーーーーー・・・・・・・・・・・。

響く音の最後の余韻が、険しい山の岩肌を撫でる風の音の余韻に似ていた。カテドラルの壁は、山の岩肌を思わせた。

その数年後、私は同じ場所で撮影の準備をしていた。連載しているエッセイのための取材許可が下りたのだ。感無量な気持でシャッターを切った。色々な想いが交錯していた。撮影が終わった後、しばらくの間席に着き、ぼんやりとしていた。
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by mikeneko301 | 2012-10-14 17:48 | 散歩
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